【経験者談】社会人から看護師になって後悔したこと、良かったこと

社会人から看護師になろうとしているあなたへ。

実際に社会人を経験して看護師になった30歳代の筆者が、

  • 看護師になって後悔したこと、辛かったこと、デメリット
  • 看護師になって良かったこと、メリット

を書いていきます。

もちろん主観です。

自由に書いていきますので共感出来ないことや、気分を害する方も居るかもしれません。

しかし。

これを書くことによって看護師へ転職を考えている社会人の方が、看護師になったあとの自分を少しでも具体的にイメージ出来るようになれれば良いなと思います

出過ぎたことかもしれませんが…

社会人から看護師になって後悔したこと、辛いこと、デメリット

まず社会人から看護師になって後悔したこと、辛いこと、デメリットを挙げていきたいと思います。

仕事をしていれば良いことばかりではありませんね。それは看護師も同様です。

これも私的な意見ですが、私が感じたままを書いていきます。

① 女性の職場であること

これは私が男性であるということに起因しています。

ただやはり女性看護師であっても、女性ばかりの職場に特有の弊害はあると思います。イジメとかお局さんの問題とかいろいろ。

看護学校に通っていたときにも感じたことですが、やはり男性と女性は考え方がどこか違うような気がします。

具体的にどこがといわれてもわかりませんが、男性同士ではすんなり行くやり取りでも女性と話すとちゃんと伝わっていなかったり、その逆もあります。

 

男性と女性の考え方に優劣をつけるつもりはありませんが、違うということは事実だと思います。

結果として男性の私は環境に馴染むのに時間がかかりました

ですので、看護師を目指している男性が見られているのでしたらそういう事もあるのだと考えておいた方が良いでしょう。

因みに男女比は私の病棟で1:14ほどです。

14人に1人しか男性看護師がいない、ということになってます。

② ストレスが溜まりやすい(ジレンマが多い)

看護の理念と仕事としての業務は常にジレンマを作ります。

これは看護観が大きく関係してきます。看護の定義は曖昧です。

正確に言うと日本国における看護師とは…

構成労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくは褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。

です。

したがって、この療養上の世話と診療の補助が看護ということになります。

なんのこっちゃ理解できない定義です。どうとでも取れるような…

で噛み砕くと一般的に看護とは…

患者の不足しているところを補うことで日常生活を送れるように介助すること

と暗黙の了解でなっています。

例えば。

手を骨折していてご飯を食べられない人が居たら、看護師が、その人の手の代わりとなってご飯を食べられる状態にするといった感じです。

この場合、看護師は「手」ですから、本来は患者のペースに合わせてご飯を口に運んでいくことが普通です。我々もそうしたいです。

しかし現実はそうはしづらいです。

なぜなら看護師とは職業で、お金を貰って行う仕事だから。組織(病院)の得になるようにも動いていかなければなりません。とも考えられます。

そうなると、

今ゆっくり食べている人の介助をしているけど、むせ込むなど危険ではなかったら少しペースを上げようかな。

20分で終わるところを15分で終わることが出来れば余った時間でさらに仕事ができる。

と考えるのは自然のことですし、別の患者にも呼ばれているから急がねばならない状況も頻繁にあります。

  • ようは看護の理想だけでは仕事が出来ないのです。

そのため看護を仕事と割りきっている人は大丈夫かもしれませんが、看護に幾ばくかの憧れや理想がある人は一人一人の患者に対して十分な看護を提供できないことに葛藤を抱くかもしれません。

また、病院における身体拘束も倫理的に問題となっております。

患者によっては治療の一環で点滴をしていても、それが理解できない方や、そもそもここは病院だとわからない方も居ます。そのため、点滴を引っこ抜いてしまったり、帰ろうとベッドから乗り出そうとする場合もあります。

その際に我々は治療を優先させなければいけません。患者が点滴を抜かないように工夫をし、それでも駄目なら最終手段として患者の身体を拘束しなければならないのです。

その患者が健康になるためにその人が嫌がることをする。

こちらにとっても心が痛むことです。

他人の自由を奪うことは倫理的に問題がありますが、それが治療をして患者を健康な状態にするためには必要な場合、拘束せざるを得ません。

看護の理念と職業としての看護師。健康に対する医者と患者の考えの違い。

これらによって生じるジレンマと常に向き合っていかなければならない看護師はストレスが溜まりやすいと言えると思います。

③ 生活のペースが乱されやすい・体の負担が大きい

病院勤務をすれば…ということになりますが、病院で正社員として働くとほぼ必ず夜勤があります

勤務時間は病院によって違いますし、勤務時間帯も2交代制か3交代制と違うでしょうが、なんにせよ出勤時間がバラバラです。

シフト制ですので希望する日には休みを入れられるでしょうし、急遽休むことになってもフレキシブルに対応してくれるでしょう。

しかし。

逆に言えば勤務時間がコロコロと変わるということです。次の日が夜勤だったのに急遽日勤になったりすることは別に珍しいことではありません。

予定が立ちづらいうえに決まった生活パターンが形成されづらい職種です。したがって慣れるまでは辛いと思います。

また。

患者に対して介助をすることが多いですので看護師の身体的負担は大きいです。

例えば自身は寝たきりの状態で寝返りも出来ない場合、看護師が寝返りの介助を行うのですが、ベッドに寝ている人の体を持ち上げたり移動させたりするので腰への負担が大きく、腰痛によって休職する人も居ます。

④ 娯楽が少なくなる

実際に医療関係の仕事に就いてから、医療ドラマを楽しめなくなったり、甘いものを手放しで喜べなくなったりしてきました。

医療ドラマはやはり現実と違いますから、そんなことあり得ないだろ!

と突っ込んでしまいそうになります。エンターテイメントなのはわかっていますが、やはり現実を知ってしまうと楽しめなくなるものですね。

甘いものも同様で食べ過ぎると生活習慣病の原因となりますし、生活習慣病によって入院された患者も多く見ますので、甘いものは人生の罠なのではと考えししまう程です

⑤ 考えが閉鎖的になりやすくなる

病院やクリニックはそれ単体で独立して存在を維持出来てしまいます。

そのためどうしても他の病院や施設・他業種との交流が乏しくなり閉鎖的・排他的な雰囲気が漂ってしまう傾向があります。

ずっと身内のなかで仕事をしていくのです。

営業もする必要もありません。お客もいません。

つまり自身を客観的に見直す機会が少ないです。

そんな環境で仕事を続けていると段々と尊大になっていきます。

例えば本来患者と医療従事者の関係は対等でなければいけませんが、患者に対して気持ちが横柄になってしまっている看護師も中には居ます。

そしてそのような人はたとえ患者からクレームが来ても直りません。むしろクレームを言ってくる方がおかしいとすら考えていることでしょう。

看護師のそういう態度は患者が強く意見を言えない立場であることも原因としてあります。飲食店などのサービス業と違って、従業員が気に入らないからじゃあもう来ない。ということはあまり出来ません

病気を治したければ通うしかないのです。

他の病院へ変えるのも、手続きや立地などを考えると少し我慢する方が良い、と考えるのでしょう。

それを看護師もわかっているので高圧的になっても大丈夫!

になるのだと考えています。

これは看護師に限らず医療機関全体に漂う昔からの悪癖でしょう。

特に若い頃から看護師を目指していた人は専門学校を卒業して病院に就職しますから、初めての社会生活が病院となるのです。そしてそのまま何年も勤務していく。

外界との交渉がない職場で仕事を続けていると排他的な考えに偏ってしまいやすくなります

病院という環境的に思考が狭まりやすくなってしまう事、また、そうなってしまった人をみるのは辛いことです。

社会人から看護師になって良かったこと・メリット

つづいて看護師になって良かったことやメリットを記載していきます。

ざっくり以下5つのメリットがあります。

  1. 医療関係の知識が手に入る
  2. 生活に応用できる
  3. 体力がつく
  4. 感謝される・やりがいはある
  5. 給料が高い

個人的にはウェイト的には①が50%で②が30%。あとはその他が全部で20%といって良いくらいです。私はこれを皆さんに伝えたい。

それぞれのメリットについて例示をまじえながら詳しくお話ししていきます。

メリット① 医療関係の知識が手に入る

もう断トツでこれですね。

私はもともと医療系とは全く関係のない工事現場や飲食関係の仕事をしていました。だから特にそう思うことが大きいのかもしれませんが、医療に関する知識が手に入ることは素晴らしいメリットだと思います。

  • 看護師になるには、看護学校を卒業して看護師国家試験を合格しなければなりません。その過程で否が応にも勉強しますので医療系の知識は増えていきます。

具体的には解剖学・病態生理学・看護技術はもちろんのこと、現在の医療体制や医療制度・介護保険の仕組み・医療保険について・その他もろもろの健康に関する法律についても勉強します。

健康問題は生きていく以上切っても切れない問題です。世の中で健康で長生きしたいと思わない人は居ないでしょう。

しかし、じゃあどうすれば良いのかと言われたら答えるのが難しいと思います。同様に実際に健康的な暮らしをしようと思っても、どうやるのが一番健康的な生活になるのかわかりづらい現状があります。

なぜならテレビや雑誌・書籍で沢山の情報が入ってきますが、その量が多すぎて全てを鵜呑みにすると矛盾が生じてくるものも当たり前のようにあるからです。

ダイエットと健康は同じ意味ではないというのも事態を複雑にさせる原因でしょう。

つまりは情報の受けてである我々に知識がないから価値のある情報か否かの判断が出来ないのです。健康についての知識というのは百々のつまり我々の身体についての知識や疾患についての知識です。

それが看護師の資格をとる過程で副産物として手に入ります。

油ものを摂りすぎると身体によくない。メタボは危険。コラーゲンは肌に良い。

などの正否を理解できるようになりますから、その気になれば健康的な生活をすることが出来ますでしょうし。

もちろん周囲の人達にその知識を広めることによって家族や友達が健康に対して関心をもってもらうことが出来るかもしれません。

しかも知識を蓄えることのメリットはそれだけではありません。

健康は生きていくうえで避けられない問題である以上、国も対策や制度をしっかり作っています。

もちろん看護師や医療従事者にならなければ手に入れられない情報・知識というわけではないですが、勉強をしたり働いていくうちに自然と身に着くのは大きなメリットです。

② 生活に応用できる

これは①とほとんど同じですが、①は自身の健康の維持に役立つ知識として挙げています。②はそれだけではなくて家族や友達・大切な人にも知識をお裾分けできるという旨のものです。

看護学校では解剖学など以外に保険や制度についても勉強するので、例えば子供を産む場合どのような制度を利用できるか。どれくらい休めるのかも法によって決まっています。それは権利であるものもありますし、休まなければならない義務のものあります。

知識があれば妊婦検診の有用性や妊娠における身体の変化に対する不安を軽減させることも出来ます。

もちろん生まれてくる赤ちゃんのケアや成長に伴う身体の変化・起こりやすい事故や症状とその対応策も勉要しますので、いつぞやの世間を騒がせた「ズンズン体操」などに騙されずに育児をすることが出来ることでしょう。

子供の予防注射でやっておいた方が良いものってなんだろうか。という疑問も抱くことはなくなります。

 

両親が高齢になった時も同様です。

両親がいつまでも健康で長生きしてほしいと思わない子供は居ないのかもしれません。が、しかしその為の方法を知っているとなると全員ではないでしょう。

老いていくことは仕方のないことですが、病気になるリスクを低めることは出来ます。

特に日本の死因の上位を占める生活習慣病に対しては日頃からの生活を変えていかなければいけませんから、普段の生活に潜む危険を知っている看護師が近くにいることは健康の維持の面では大きなアドバンテージです。

 

一方でいかに予防をしても、病気になってしまうこともあります。

高齢者の認知症などは最新の医療でも進行を抑えることが精一杯です。いずれは認知症となるでしょう。足腰が弱くなって介助が必要になるかもしれません。

その時にどのような施設を利用出来るのか。そもそも施設の種類は何個あるのか。それぞれの施設の違いや利用するための条件はなんなのか。訪問介護やデイサービスを受けたいけど、どこで申請するのか?

などこれらは知っているというだけで選択肢が増えていきますので、知識を手に入れれる事のメリットこそあれデメリットは無いと考えます。

③ 感謝される・やりがいはある

病院でしか働いたことがありませんから他の施設ではどうかはわかりませんが、やはり重症の状態で入院してきた患者が治療をして、日に日に元気になっていく姿を見ているとこちらまで元気が出てきますし、人の役に立っているというのを直に感じることが出来ます。

看護というのは定義が曖昧なものです。

ですからこれが正解というのはなく、同じ行為でも喜ぶ患者と嫌がる患者が居ます。

つねに臨機応変に対応していかなければならない難しさはありますが、それが上手く功を奏して患者が笑顔になったときはこちらの達成感も大きいです。

④ 体力がつく

これも病院勤務であればという前提になります。

そして私の働いている病棟ではという事になりますが、とりあえず仕事が多いです。検査や点滴管理・トイレ介助・入院の処理などに忙殺されて仕事を始めてから終わるまでがあっという間です。

時間内に仕事を終わらせなければならないので走り回ることが多く、介助時には患者を支えなければいけません。

ある程度の筋力は必要です。

夜勤になると特に走っていなければ間に合わないほど忙しい時間帯がありますので仕事をしていれば体力は否応なしに付いていきます。

⑤ 給料が高い

資格を取得するために必要な経費・時間・取得のしやすさを考慮すれば比較的給料が良いように感じます。

1年目の支給額で20万台後半。手取りで22~25万程です。

ボーナスは働く場所でそれぞれですが、3~4か月分が相場です。

もちろん福利厚生もしっかりしていますし、休みもしっかり取れます。

看護師は慢性的な人手不足ですので、あの手この手で来てもらおうとしているわけですから待遇は良いように思われます。

女性の職場ですし、妊娠や出産に対しても積極的な印象を受けます。

看護師になってみて感じた良かったことはこれくらいですね。

やはり①が圧倒的です。生きていくうえでの健康の立場から考えることが出来るのは医療従事者の大きな利点です。

まとめ

以上、つらつらと私見を恥もなく曝してきました。

世の中美味しい話などありません。メリットがあれば必ずデメリットがあります。

どのメリットを取り・どのデメリットを受け入れるかです。

数ある仕事のなかから看護師という職に興味を持たれた皆さんにデメリットまでお教えしたのはそれぞれの正しい選択をしていただきたいからです。

転職にはそれ自体リスクが伴うものですから、看護師を目指すのであればよくよくお考えのうえご決断ください。

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