看護師の仕事が激務ブラックといわれる5つの理由

看護師の仕事は、世間で3Kなどと言われています。

ちなみに3Kとは「きつい・汚い・危険」の略称です。

  • ただ失礼ながら、看護師の仕事すべてを3Kで表すことは到底できません。

なぜなら。

実際にはもっと激務ブラックで、ツライ仕事だから(苦笑)。

「看護師」とGoogle先生で調べると…

  • まっさきに「看護師 辛い 辞めたい」などと予測変換に出てくるほどです。

もちろん看護師の仕事に3Kが含まれることは確かです。

が、それ以上にブラックと呼ばれる要因があります。

そこで今日は看護師がなぜ激務ブラックなのかを、現役ナースが解説していきます。就職・転職のご参考にどうぞ。

そもそも看護師業務は、激務でブラック

本題にはいる前にすこしだけ私の経験談を。

  • 看護師が激務であることは、看護師なら誰もが認める事実かと思います。

職場にもよりますが、休む暇もなく動きっぱなし

などという方もいるのではないかと思います。

実際に私もそうでした。

点滴に与薬、検査出し。オペにケモに、清潔ケア…などとやっているうちに、あっという間に夕方でした。当然記録など何も出来ていないので、必然的に残業決定です。

ミスの許されない作業の連続で精神的にもストレスになる

さらに、ミスの許されない作業の連続で、精神的にもかなりきついものがありました。特にヒヤヒヤしたのは、抗がん剤の投与と輸血、麻薬の管理です。

時計とにらめっこをしながら、常に気を張らなければならないので、非常に神経を使います。ナースコールもひっきりなしに鳴りますし、頭がおかしくなりそうでした

それだけではありません。肉体的に辛い仕事も山ほどありました

まずは清潔ケア!中腰の動作も多く、とにかく腰にきます(笑)

車いすへの移乗の介助や、ストレッチャー移送もなかなかのもの。私はストレッチャー移送が苦手なので、いつも腰が痛くなります。

夜勤中のおむつ交換と、体位変換も同様です。

介護度が高い部屋を受け持った後は、身体がバキバキしていました。実際に腰痛に悩まされる看護師も多く、中には入院が必要なほど痛めてしまった人も…。

まさに我が身を削って仕事をしている感覚でした。

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以上で前置きは終わり。ここからは「なぜ看護師が激務ブラックと言われるのか」、経験談からその理由を語っていきます。

1.夜勤があり、その内容もブラックそのもの

看護師の仕事が激務ブラックと言われる理由1

  • ほとんどの看護師は夜勤があり、その内容もブラックそのものであること

どのへんがブラックなのかというと、まず夜勤というものがブラックの象徴です。

まったくロジカルじゃなくてすみません…

一般的に「夜勤=激務ブラック」という構図が成り立ちますが、看護師の夜勤はたとえば工場の夜勤などとは比べものにならないほどハードなのです。

そのあたりを具体的に解説しておきます。

2交代制は死ねる…

看護師の夜勤は以下2パターンあり、いずれかがシフトに組み込まれている病院がおおいですね。

  • 2交代制なら夜勤(16:00~翌9:00=16時間)x4回
  • 3交代制なら夜勤(8時間労働)x8回

まず2交代制の場合。

夜勤は夕方16時から翌日9時までの16時間勤務という形態が多く、1夜勤で2日分の仕事をしたことになります。もちろん休憩・仮眠時間はありますが、患者は待ってくれません。緊急事態もしょっちゅう起こります。しかも仕事はミスが決して許されない、というストレスもあります。間違いなく激務ブラックと言えるでしょう。

つづいて3交代制の場合。

日勤、準夜、深夜と8時間で区切ります。準夜は夕方から夜中まで仕事し、深夜は夜中から朝まで仕事をします。

大変なときは日勤後に夜勤を行ったり、準夜後に日勤を行わなければいけないこともあります。

病棟では看護師の配置基準が有り、それを下回らないように調整をします。ある程度無理な勤務形態も、師長や部長からの指示のため、首を縦に振るしかありません。縦社会のため自ずと激務になってしまいます

日勤もあるけど給料が低くなる…

子育て中や体調面で夜勤ができない方を日勤常勤と呼び、通常の常勤と分けます。当然給料もわけられ、手当もつかないので、看護師なのに給料は低めになります。

したがって。

原則看護師になったら夜勤をやれ!そのように物語っています。

そして最近の実習には夜勤実習があり、実際の夜勤の一部を経験するように組み込まれています。看護師になるということは夜勤と切っても切れない関係になるということですね。

2.先輩待ち 特に新人は無意味に20時まで残る

看護師の仕事が激務ブラックと言われる理由2

  • 縦社会であり、先輩待ちをしなければいけないこと。特に新人は無意味に20時まで残るという悪しき風習

多くの病院、病棟は、チームナーシング制をとっており、一つの病棟が2ないし3のチームに分かれています。

特にそのチームないにおける上下関係は厳しく、先輩より先に帰ってはいけないという暗黙ルールがあります。

新人のうちは、受け持ちもなく、学習段階ですのでやれることは少ないです。

ですが定時で帰ったらどうでしょうか。

翌日より言葉には現れない態度で接してくるケースもあり、耐えられず辞めてしまう看護師もいます

辞めてしまった看護師のことは良くはいいませんので、残った同期はとても心苦しいことがあります。

看護師における序列は年齢でなく「看護師経験+学歴」

病棟には看護師しかいません。

当たり前ですが、全員が同じ資格者です。

そのため、看護師免許を取ってから何年経った、それが上下関係を決めるポイントになります。

たとえば。

大学卒業者と社会人経験者が同じタイミングで看護師免許をとると、その二人は同期になります。先輩は実年齢も考慮しますが、一番は看護師経験です。

そのため、1年でも早く看護師免許を取った人との上下関係が出来上がります。

もともと学歴なども採用基準とする大学病院や大病院では、学歴なども上下関係を決める要因になります。ですが多くは看護師経験ですので、東大卒看護師も准看護師からのステップアップ看護師も、同じ経験年数ならば上下関係はありません。

職場環境は改善されつつある!?

ただ最近では男性看護師が入ってくるようになり、多少雰囲気は変わりました。

以前は女性しかいない、怖い印象の職場が多くありました。

今でもすべてが女性という職場も多く、そこで行われるいじめに近い洗礼、指導もブラックと言われる問題の一つです。

少しずつ改善はされていますが、地方や個人経営の病院では、今だ行われているところもあります。

3.希望休は月に2日まで、有給は病欠のみ

看護師の仕事が激務ブラックと言われる理由3

  • 自分の希望するタイミングで休みが取りにくいこと

たとえば私の勤める病院では「希望休は月に2日まで、有給は病欠のみ」というような暗黙の了解があります。

自分が休みたいときに休めない職場って、ほんとうに最悪ですね…。

休みが取りにくい理由

なぜ自分の希望するタイミングで休みが取れないかというと…

  • シフト制で、なおかつ土日祝関わらず24時間365日、誰かしら看護師が必要だから

病院では、外来や検査室などの一部を除き、シフト制で仕事をしています。

固定休はなく、前月に翌月分の希望休日を伝え、師長がそれをもとに仕事日を決めます。看護師は土日関わらず、24時間365日病院には必要です。

時には年末年始にも出勤をし、患者さんと初日の出を迎えることも多くありました。

通常希望休は、予定があったり、休みたい日を提出します。

平日にあるイベントに参加する方や土日に休みたくない方には適しているのですが、その希望休の数が限られることがあります。

たとえば

たとえば土日公休が当月に8日あったとして。

この8日を休み希望として出したとしても、すべてを叶えることはできません。なぜなら他の看護師もみんな、彼氏なり家族とスケジュールをあわせて似たような時期に休みたいからです。

したがって。

事前に勤務を組みやすくするために、希望休の提出数に制限をかけることがあります。また先に先輩看護師の予定を優先し、空いている場所で休みを取らせてくることがあります。看護師はガチガチの体育会系気質なので仕方ないですよね…

シフトは看護師長が管理しており、意見できない

そして。

シフトに関しては師長がすべてを握っていますので、意見をすることはできません。

いい師長に当たれば、毎月の休みが楽しみになるのですが、そうでなければ最悪です。

あるいは看護師長と良好な関係をきずいていれば、都合のいいようになるかもしれません。

有給すらも看護師長の管理下におかれ、自由にとれない

有給は持っているうち5日間は自由に取らせなければいけません。

ですが、その5日間も師長の許可が得られなければ使うことができません

  • これは有給に関する病院側の時期変更権があり、病棟運営に妨げがでるときには別の時期に取得するように変更ができるのです。雇用主にとって都合のいいルールになっているのですよね。

結局有給休暇をつかうことができず、2年間というタイムリミットを過ぎて消滅することが多くあります。最期退職する時も同様で、残り有給のうち数日分を放棄する看護師が多くいます。

原則すべて使用できるのですが、有給は実質働いているというカウントになります。そのため、その分の業務が同僚に降りかかるため、配慮する形で放棄しています。

  • 有給にかんしては強行して取ることもできますが、その際には師長とバトルをすることになります。どちらにせよ、心にしこりが残ってしまいます。

4.高齢者のお触りは苦笑い、卑猥な言動は右から左へ

看護師の仕事が激務ブラックと言われる理由4

  • 高齢者のお触りは苦笑い、卑猥な言動は右から左へ。病院をキャバクラと勘違いしているセクハラ患者がいる

看護をする対象の方は、体のどこかに不調を持っている方です。

ですが、多くの方が今まで働かれていたり、一人で暮らしていた方などなので、入院生活に時間を持て余します。

そうすると起こるのが、看護師に対するお触りや言動の問題です。

そっちの奉仕も必要なの??

このような行為は一般的にはセクハラであり、最悪の場合は強制わいせつ罪に該当します。

ですが…

看護師の奉仕する精神と一般的に入院を継続させたい経営者の理念で、セクハラは黙認されています。

目に余る行動や言動があるときは、師長・部長が対応し、最終的には主治医が対応します。強制退院、入院拒否に繋がることもあり、ことの重大さは認識しています。

病人だから許される!?

中には認知症や精神疾患を患っている方もおり、善悪の判断がつかない、他者から命令されたなどという方もいます。

その場合は幾度伝えても暖簾に腕押しで効果はありません。

看護師がいかに避けるかということを考え、先輩も後輩へ指導します。時には行動が酷すぎてしまい、号泣しステーションに戻ってくることもあります。

病気という隠れ蓑で紛らわし、看護師も諦めるしかないという状況です

5.ミスが許されない仕事ゆえに、たまるストレス

看護師の仕事が激務ブラックと言われる理由5

  • ミスが許されない仕事ゆえに、たまるストレス

針刺し事故・誤薬・患者取り違いなどなど。

いずれも一歩間違えれば命を失います。このプレッシャーは想像を絶するものがあり、とくに仕事に慣れるまでかなりのストレスになります。

看護師は常に危険と隣り合わせにおり、業務中は常に神経を研ぎ澄ましています。医療は適正に使用すれば、病気を治し、命を取り留めることができます。

しかしそれに絶対はなく。

ほんの少しの違いで命を奪う凶器になります。

自分自身も守らないといけない

そして患者さんだけでなく。看護師は自分自身をも守る必要があります。

  • 患者から看護師に病気がうつる事故も頻発

看護師として、まず始めに教わるのは自分の護り方です。採血や点滴など、針をよく使います。血液は通常菌は存在しませんが、血液型の違いや血液成分の違いなどから触れることは避けるべきです。

ですが血液中に菌やウィルスが存在することもあり、それを調べるために採血をしています。血液を取る時、取った後に自分の指に指してしまい、同じ病気に掛かってしまうことのある針刺し事故があります。

年間3000件以上の針刺し事故が報告されており、命を落としてしまった方もいます。一瞬の不注意が、自分の人生を台無しにすることもあります

医療ミスは医師の指示で動いてても、訴えられるリスクあり

基本は看護師が起こした問題は、病院の責任として処理されます。

しかし。

場合によっては看護師を相手に訴訟を起こし、損害賠償が認められることがあります。医師の指示で行う看護師ですが、その医師の指示を鵜呑みにしていて過ちに気づけません。

  • 通常考えて投与する量でない指示を医師から受け、そのまま投与すれば看護師の責任を問われます。

常に付きまとう危険と二人三脚で看護をし、患者さんの回復を促す仕事は、激務以外に適当な言葉が見つかりません。

薬は禁忌というものがあり、病気や投与場所、方法によって毒となることがあります。学校で学び、国家試験を通り、さらに職場で深めます。ですが「医師はかならず正しい」という思い込みにより、禁忌を犯してしまうこともあるのです。

所属部署でも変わる!激務ブラック度合い

ただし。

これまで述べた激務ブラックな状況は、すべての看護師があてはまる訳ではなく。

所属する場所や上司にあたる看護師長、職場によっても変わります。

医療職者の中でも、医療期間とわず所属できる部署があり、取り扱える診療科が多いのは看護師くらいでしょう。

幅広い守備範囲を持つ看護師だからこそ、所属する部署や診療科によって、人手不足や業務量の差から激部度合いが異なります。

とくに激務な職場

  1. 救急救命センター
  2. 手術室
  3. ICU

これらの職場は激務な看護師の仕事の中でもとくに激務と言えます。

救急救命は、いつ来て、何人来るかわかりません。

重症な方が続く日もあれば、すぐに帰れる軽傷ばかりくることもあります。その点ICUには、必ず重症が来るため心構えは違うかもしれません。軽傷の方は病棟へ入院となるため、自ずと重症しか集まりません。

  • 手術後の患者さんが複数人入院したら、まず仮眠は取れないでしょう。
  • 手術室も同じで、長い手術であれば10時間以上かかるものもあります。

その間先生に機械を出す看護師は立ちっぱなしで、常に神経が高ぶっている状態が続きます。またいつでも手術ができるように、電話が来たら出勤となる待機という登板があります。

概ね電話で呼ばれたら、30分程度で病院に行かなければいけません。プライベートまで病院の近くに拘束され、仕事が終わっても終わった気がしません。

激務になりがちな職場

診療科では、

  1. 急な変化が多い循環器の病棟
  2. 心臓外科の病棟

これらの職場でも激務なことが多いです。

心疾患は急を要するため、夜中でも手術をします。状態が安定しきらないICUの患者さんが移動してくることもあり、10人以上受け持つ中で安定しない方も受け持ちます。

心臓が突然止まることや出血が止まらないこともあり、つきっきりで看護を要することもあります。

激務ブラックでも辞めない看護師

激務でかつブラックな職場は多く見られますが、どうして看護師はやめないのでしょう。

  • それは業務に比例して給与が高いから

これがおもな理由かと。ただし人によります。

仕事にやりがいを見出す人も中にはいます。

さらに慣れてしまえば、激務やブラックをこなすことが快感になり、楽しくさえ感じます。

  • 私がもう一度ゼロから人生をやり直すとしたら…絶対に看護師は選びません。これだけは言えます。

これから看護師を目指す方、モチベーションを下げるようでほんとうに申し訳ありません。

【参考】看護師の仕事が辛いと思う瞬間5つと、乗り越えるための対処法5つ

給料を気にしない、楽でホワイトな看護師ライフ

激務やブラックでは、それにともない給料も高額です。

  • 給料は低くても楽なのが肝心!そう思う看護師もたくさんいます。

守備範囲が広いのが看護師の特徴ですので、掘り出し職場はたくさんあります。

その一部を紹介しますね。

体や精神をこわしてまでムリに働きつづける必要などないのです。

①    訪問入浴やデイサービスの派遣

看護師の派遣は、病棟や外来などの病院だけでなく、在宅向けの介護サービス事業でも依頼があります。

  • その中でも訪問入浴とデイサービスは両方とも、新卒でもできるほど簡単な仕事です。

訪問入浴は、夏場はやや辛いですが人間関係や上下関係などはクリアでホワイトなことが多いです。

デイサービスでは、高齢者とのコミュニケーションや簡単な処置しかありませんので、業務量的にはかなり楽な部類です。

②    採血センター

献血や病院内の採血センターは、とにかくひたすら点滴や採血を行うだけです。

受け持ちもなく、アセスメントもせず、もくもくと血をとります。

検査は臨床検査技師が行いますので、一心不乱に目の前の業務に集中ができます。

③ 人間ドック

人間ドックを担当する看護師も相当にラクな仕事です。

仕事内容は視力測定や身体測定、心電図などの軽微な検査が多く、だいたい1~2個所程度を担当します。

日頃元気に過ごしている方が対象ですので、手を煩わすこともありません。

また。

高級な人間ドックでは、有名人やお金持ちと出会える可能性もあり、求人倍率は他より高くなっています。

④ 一般企業の保健室

あとは裏ルートというか何というか。

一般企業が事業所ごとにもっている保健室の看護師も、仕事としては相当にラク。

仕事内容はたとえば、

  • 風邪ひいたとか、どこかが痛いとか、そういった社員の健康に関する困りごとを聞いて病院を紹介したり。健康診断のアレンジをしたりといった、誰にでもできそうな仕事ばかりです。

大企業ならたいていの場合、各事業所ごとに保健室をもっています。

そのような企業につとめるとたいていは定時出社・定時帰りでラクな仕事になります

ただし募集自体が非常にすくない上、倍率も高いため、あればラッキーぐらいに考えましょう。

⑤ 学校の保健室教諭など

あとは学校の保健室教諭とかも仕事がラクな部類ですね。

看護師の資格以外に、教諭の資格が必要となりますが…

そこまで難しいものではなく、看護師の資格を持っていれば比較的容易だと思われます。

まとめ

看護師に対するイメージは、白衣の天使と感じている人が多いと思います。

ですが実際の仕事は天使とかけ離れ、内部状態は悪魔に近い看護師が集まっています。

ただ。

近年は医師の働き改革の推進もあり、内部の労働環境を整える動きが見られています。残業時間の減少や適切な残業代、有給消化などブラックからホワイトに変わりつつあります。

ただし。

そのように動けるのは、人や資金のある一部に限られます。今の職場に不満や不安があり、周囲に相談ができない状況であれば転職も検討される必要があります。

今の病院でしか学べないことはなく、転職先でのびのび学べる可能性の方が高くなります。いま働いている状況を整理し、無理なく働ける環境を探していきましょう

参考記事

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